プロジェクト報告


<佐野市 高校進学ガイダンス概要>

 


日時:平成21年7月15日(水)18:30〜20:30

場所:佐野地区城北公民館
   
目的:
   佐野市内の中学校に在籍する外国人生徒・保護者を対象に、高等学校へ進学する際
   に必要な情報を提供し、外国人生徒一人ひとりが自己実現に向けて、適切な進路を
   選択することができるようにする。 対象:佐野市内の中学校に在籍する外国人生徒および外国人保護者 協力者(ボランティア): 原田 真理子(佐野小学校日本語教室指導員) 神田 直美(佐野小学校日本語教室指導助手) 神戸 浩子(天明小学校教諭) 清水 きよ子(植野小学校教諭) シーマン 政恵(犬伏東小学校教諭) 野村 智子(城東中学校教諭) 李 千健(保護者) 龍 郭蕊(保護者) カーンズ 久美子(保護者) 堤 シルバーナ(日本語教室卒業生) 山城 毅(日本語教室卒業生) 宇都宮大学多文化公共圏センター 主催:佐野市教育委員会     


  栃木県初!外国にルーツを持つ子どもの進学ガイダンスの開催(佐野市)

  現在の日本社会では、ほとんど100%近くの中学生が高校に進学しています。しかし、その一方で日本に住む外国人生徒の高校進学率は40〜50%程度だと推計されています。特に来日後間もない生徒は、学習意欲があり、学年相当の学力があっても高校進学できない人がいます。理由はそれぞれですが、言葉の壁だけでなく、時には保護者の理解不足や経済的な事情という場合もあります。親の都合で来日した子どもたちですが、日本に残るにせよ帰国するにせよ、自分の道を拓くためにもしっかりとした教育が必要です。

  そこで、昨今注目されてきているのが、外国語による高校進学ガイダンスです。「進学ガイダンス」とは、外国人の子どもが高校に進学するために、親子で進路について話し合う機会をもてるように、多言語で日本の教育システムや高校入試について説明する会のことです。  会のもう一つの目玉としては、同じ境遇に置かれながらも立派に中学を卒業し、高校進学を果たした、先輩たちに経験談を語ってもらう時間を設けていることです。 このようなガイダンスは、すでにいくつかの地域で実施されています。関東地方では、神奈川県・東京都・埼玉県・千葉県ですでに実施されていますが、北関東の3県(群馬・茨城・栃木)ではまだ実施されておりません。

 しかし、栃木県でも佐野市が積極的活動を始めています。まず昨年度、佐野市立佐野城東中学校で、校内行事として行われました。さらに今年7月15日(水)、佐野市教育委員会の主催で昨年度より規模を拡大した形で実施されました。以下、佐野市教育委員会のご協力で、佐野市進学ガイダンスの全面的な取材をさせていただくことができましたので、開催の模様を一部ご報告します。

具体的には以下のように行われました。まず、今回のガイダンスは佐野市内の小中学校教員と保護者、そして卒業生のボランティアですべて運営されていました。これらの方が、資料作成、翻訳(中国語・スペイン語・ポルトガル語・英語)作業、当日の受付、会場設営、通訳をすべて行ったのは本当に大変なご苦労があったと思いました。作成された資料もとてもわかりやすくまとめられており、ご苦労の跡がうかがわれました。実際の内容に関しては、佐野市教委の先生が資料に沿って日本語で説明をし、ある程度の内容で話を区切ります。それを各言語ごとのテーブルに分かれた通訳者が、話された内容を参加者に随時通訳していくという方法です。

ガイダンス風景 プログラム内容は大きく3つで構成されていました。まず日本の教育制度や高校の種類などの説明です。ここではそのほかに、進学時にかかる具体的な費用なども説明されました。つぎに、高校を受験するための説明です。ここでは、推薦入学制度は単願・併願、実際のスケジュールなどの説明がありました。これらの説明の後、質疑応答も行われましたが、参加者はそれぞれ具体的な不安や心配事などを質問していました。そして、最後に実際に佐野市の中学校を卒業し立派に社会人として生活している二人の若者が受験体験を語ってくれました。


卒業生のお話  山城 毅さん
「小学校からバスケットボールをはじめ中学校、高校とキャプテンを務めました。バスケットを続けたおかげで、友達がたくさんでき、楽しく学校生活を過ごすことができました。アドバイスとしては、自分の好きなことを見つけることが一番大切だと思います。もし、今好きなことが見つからなくても、とにかく行動してみることです。駄目だったらまたやり直せばいいのですから。」

アルゼンチン生まれの26歳。 6歳で日本に来日 佐野市の日 本語教室を経て、中学校高 校と進学、いくつかの仕事を経て、現在、佐野市の消防士になることを目標に頑張っている。(実は、現在日本中の自治体で、外国人住民の増加に伴い、緊急時の防災対応をどのように充実させるかに頭を悩ませている。山城君のような青年が消防士になったら、佐野市でスペイン語が自由に操れる消防士が誕生する。これは、究極の防災対策ではないか(制作者談))



  卒業生のお話 堤シルバーナさん
「私は英語が特に好きで、英語の勉強をずっと続けました。また同時に、自分のような日本に来て困っている外国人のために手助けができるような仕事がしたいと思い、大学進学を決心しました。私からのアドバイスは得意な分野があったら、周りに何と言われようとそれを伸ばしてだれにも負けないようになってほしいと思います。そうすることで、他のものに対しても自信がつき絶対将来の役に立つと思います。」

ブラジル生まれ。小学校6年生のとき来日。当時まったく日本語が話せなかった。小学校6年生のときは、午前中日本 語指導を受け、午後は原学級で勉強を一年続ける。そこから猛勉強の末、中学、高校そして宇都宮大学を卒業。日本 語教師や通訳などの仕事を経て、現在日本企業で働く。(小学6年生と言えば、言語能力もほぼ完成される年齢である。この時期に日本に来て、一年間小学校で日本語教育と、教科学習を同時に習得できたのは並大抵の努力ではなかったと想像する。彼女のような方が将来、教育者として何らかの形で関われるようになれば、もっと外国人児童生徒の教育環境が良くなることは間違いない(制作者談))



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