イベント報告

『グローバル教育 最初の一歩〜地域からグローバル問題を考える〜』

 

 
・日時)2009年12月11日(金)12時50分〜17時

・場所)宇都宮大学峰キャンパス 大学会館2F多目的ホール 

・対象)一般市民・学生・学校教育関係者など


                    ――プログラム――

13:00 開会挨拶
    岡田学部長、田巻センター長 
    本セミナーの趣旨説明(重田副センター長)

13:10 第一部 基調講演
        田中治彦先生(立教大学文学部教授/開発教育協会前代表)
                 「日本のグローバル教育としての開発教育の現状と課題」
14:00 質疑応答

14:20 休憩

14:30 第二部 パネルディスカッション
        コーディネーター;重田康博
        パネリスト(順不同) 
     ・中川哲夫(開発教育ネットワーク会長/宇都宮女子高等学校英語教員)
           「栃木県・宇都宮市の開発教育」
        ・陣内雄次(宇都宮大学教育学部教授)
           「地域におけるESD」
        ・根本久美子(茨城県メサ・フレンドシップ副代表)
               「地域におけるグローバル教育―イギリスや茨城県の活動事例」
        ・吉田ユリノ(シャプラニールとちぎ架け橋の会代表)
               「国際NGOを通じたグローバル教育・フェアトレード」
15:50 コメント (田中治彦教授)

16:00 休憩

16:10 第三部 グループワーク

16:40 総括と提案 (重田副センター長)

17:00 閉会挨拶(田巻センター長)


⇒チラシ

 今日の国際社会は、グローバリゼーションの影響によって、さまざまな問題に直面しております。
そんな中、自治体、大学、学校、NGO/NPOによって地域レベルで学校教育や社会教育関係者を対象に、
世界のグローバル化に伴う地球的課題を考え解決するための「グローバル教育」が行われ始めています。
多文化公共圏センターでは、このたび地域からグローバル問題を考える最初の一歩として「グローバル
教育セミナー」の開催しました。今回のシンポジウムを機に多くの方とグローバル教育を学び、栃木県の
各地域レベルで推進するための呼び水としたいと思っています。

   田中治彦先生 第一部は基調講演として、立教大学文学部教授および開発教育協会前代表
の田中治彦先生をお呼びしました。 開発教育の特徴 大きく分けて3つあげられる。まず、「『弱い立場の人々』への共感」
である。開発教育はもともと、貧困な状況に置かれている「南」の人々
への共感的理解と、問題の構造と原因の理解、そして問題解決に向けて
の方策を考えることから発している。そのため、開発教育は、途上国の
人々のみならず、相対的に「弱い立場にある人々」との共感を大切にし
ている。その意味で、人権教育、多文化教育、福祉教育などと共通の基盤をもっている。 二つ目に、「参加型の学習プロセス」である。開発教育は最終的には、問題の理解のみならず、その解決
に向けての参加を大切にしている。現在ないしは将来における社会参加をめざしている教育活動であるため
に、その学習プロセスにおいても参加型の学びを行う。参加型学習には、ワークショップと呼ばれる学習教
材や、アクション・リサーチ、フィールドワーク、スタディ・ツアー、PLA(参加型学習行動法)といっ
た学びの形態がある。 そして最後に「市民参加のための教育」である。開発教育は最終的には、各学習者が問題の本質を理解し、
その解決に向けて参加する態度を養うことを目的としている。これは「南」の問題に限らず、日本国内の
課題についても同様である。開発教育はグローバル時代の市民教育と言ってよい。

(配布資料より抜粋)


パネル 第二部では、現在の栃木県のグローバル教育をけん引して
くださっている先生方4名にそれぞれの専門立場から報告していただきました。
内容を一部抜粋します。 Q1:あなたにとってグローバル教育とはなんですか? 中川哲夫氏:グローバル教育とか開発教育とかいろいろな呼び方がありますが、
私はあまりこだわりません。大事なのは一人の世界市民として地球環境のことや
自分たちの住む世界をたのしいものにしていけるように、一人ひとりが考え行動
できればすごくいいと思っています。 根本久美子氏:かつて国連の事務総長だったコフィー・アナンさんがノーベル平和賞を取ったときの言葉を紹介し
ます。「今日のボーダーは国と国との間ではなく、強者と弱者、自由な人と束縛されている人、特権のある人と屈
辱を受けている人の間に存在しているのである。現在世界のある場所で起こる人道・人権の危機と別の場所の国家
安全上の危機の間に壁を立てることはできない」この言葉が私の心に刺さりました。(中略)例えば、私の関わっ
ている高校生中学生は、100円ショップやユニクロの商品を好んで使っています。でも、その消費行動が自分の住
む地域や自分自身の将来を変える要因になったり、あるいは世界のあちこちで起きている問題と繋がっていること
があります。私は学校教育の中で、それらを常に意識する教育ができればいいと思っています。 吉田ユリノ氏:学生と共にシャプラニールというNGOの活動をしています。活動を通して、その国の風土や暮らし
あるいは歴史や文化、そして貧困や非識字や乳幼児の死亡率の高さ、抑圧された状況は構造的な問題なんだという
ことが分かってきます。実はそれは、ケーススタディをしているようなものなのです。これらの問題を考えること
によって、世界の諸問題を読み解く上での手掛かりを得ていけるようになると感じています。そしてそこから世界
の中の日本、あるいは世界の中の自分の位置が見えるようになれればいいと思います。さらに、自分が見えてきた
ら周りにそれを伝え、徐々にその輪を広げていければもっといいと思います。 陣内雄次氏:私にとってもまだあまりなじみのない言葉です。だだ、グローバルという言葉が大事だと思います。
「nation」でなく「global」地球なのです。その観点からESD(持続可能な開発)などを考えていかなければな
らないと思います。また、私はもともと建築が専門なのですがいい建物を作るためには人を知らないとなりません
。人を知り、その上でないと人のためにいい空間は作れないのです。そして人のためにいい空間とは建物のみなら
ず地球環境をどうするかということに繋がっていくわけです。そこで考えると、グローバル教育とは、いろんな観
点から、人と地球(グローブ)を繋げていくための関係性を常に認識させてくれるものだと思います。

(*本文は、セミナー第二部でパネリストの方が発言された内容を抜粋、まとめたものです)


グループワーク風景 第3部では、グループワークを行いました。第2部の報告を踏まえて、周りの
席の方たちとグループになり意見や質問を出し合いました。主な意見を抜粋
します。 ・未来志向の“楽しい世界”の構築は人格教育から。 ・ちょっと視点を変えてみるのが「グローバル教育」目的なのに、「グロー
バル教育」 という華やかな名前だけが一人歩きしていてピンとこない。 ・根本さんの言った「今、自分の使っているモノが他国にどのような影響を
与えているか?」て言葉にすごく共感しました。 ・グローバル教育の根本は思いやりの心、寛容の心などの“道徳”にあると
思う。特別なことではないと思う。
フェアトレード商品展示販売風景 宇都宮大学ではフェアトレードを通じた国際協力活動をしている学生サーク
ルがあります。ひとつは、KAKEHASEEDS(カケハシーズ) 、もうひとつは
リソース・ネットワークです。セミナー当日は、ネパールやバングラディッ
シュからのフェアトレード商品を展示・販売してくれました。商品はポスト
カードから複雑に織られたスカーフ、バックなど、とても鮮やかで魅力的な
モノばかり陳列されていました。彼女たちの明るい笑顔も含めて、セミナー
に花を添えてくれました。 フェアトレード商品展示販売風景







オープニング演奏 もうひとつ、当日素晴らしい花を添えてくれたのはスチールパンバンド:
トリニスタの皆さんです。スチールパンとはドラム缶をくり抜いて丁寧に
ハンマーで打ちだしたものです。打ち出された曲がり具合とドラム缶本体
の長さで音の高低が変化します。はじめて音を聞いた時、ちょっとピアノ
にも似た音色にとても驚きました。トリニスタの皆さんには、セミナーの
オープニングと休憩時間の他、セミナー終了後の懇親会でも演奏をしてい
ただきました。演奏の合間には、貴重な楽器を叩かせてくれたり、説明し
てくださって、皆さんとても興味深そうに聞き入っていました。

スティールパン
懇親会風景 セミナー終了後、本日講演してくださいました田中先生、
パネリストの中川先生、根本さん、
吉田先生、陣内先生と一般参加の方を交え、
親交を深めました。






イベント報告へ戻る