イベント報告

<日光市国際交流協会・多文化公共圏センター交流事業 第四弾>

 


日時:2010年6月18日(金)19:00〜20:30

場所:日光市中央公民館 小ホール
   
講演 「食から世界を考える『イギリス編』〜紅茶とビール〜」

講師 高際 澄雄 (宇都宮大学 多文化公共圏センター副センター長・教授)

[プロフィール]

1949年(昭24)栃木県藤岡町(現栃木市)生まれ。県立栃木高校を経て、東京教育大学卒。
1975年(昭50)新潟大学教育学部高田分校助手。1980年(昭55)宇都宮大学教養部助教授。
これまで一般教養英語(現共通教育英語)を35年担当。教えた学生は1万人を越える。1994
年(平6)より宇都宮大学国際学部に移籍。1997年(平9)より教授。専門としてはイギリス
18世紀文学と文化を研究。現在ヘンデルの歌劇と大学の関係を調べているが、イギリス文化
全体に深く傾倒し、その魅力に取り憑かれている。
また栃木県生まれてとして、郷土の文化に興味を持ち、渡良瀬遊水地の自然保護運動や廃
棄物問題に関わる市民運動にも携わっている。


⇒チラシ
    


講演会風景

      講演会に参加して

 今年度の日光市の交流事業では、「食」をテーマにして三回の講演会を行う予定です。今回はその第一弾として、6月18日(金)に「食から世界を考える(イギリス編)紅茶とビール」と題しまして、高際先生による講演会が日光市で行われました。
 参加者の8割は女性でしたので、女性の中でのイギリスに対する興味・関心度の高さを窺い知ることがきました。(かくいう私も「イギリス」という言葉に非常に魅力を感じてしまいますが…)
 
  今回の講演では、私たちに馴染み深い「紅茶とビール」からイギリスの文化や歴史を学ぶことが目的でした。意外に知らなかったイギリス文化や歴史を学ぶことができ、参加者の方たちも興味深げに話しに聞き入っていました。


  まずはイギリス紅茶のお話から。なぜイギリスでは紅茶が飲まれるようになったのかということから始まり、イギリス人の生活の中で紅茶は欠かせない飲み物であること、そしてイギリス式の紅茶の楽しみ方を学ぶことができました。しかし、イギリスで紅茶が流行した背景には、同時に奴隷貿易という暗黒面もあったという事実も忘れてはいけません。その後奴隷貿易は市民運動により禁止されましたが、現在でも紅茶はイギリス人に愛されています。


 と、ここでティーブレイク。イギリス式の紅茶の楽しみ方として、ミルクティーとスコンを頂きました。紅茶にはたっぷりのミルクとお好みでお砂糖を。スコンにはジャムとバターとクロッテドクリームをかけて食べるのがイギリス式です。青空の下でのティーブレイクが最も美味しく紅茶とスコンを頂けるそうです。(高際先生はいつもイギリスの青空を思い出すそうです!)


 続いてイギリスのビールのお話。イギリスのビールの特徴や、現代のイギリス社会に深くかかわるパブについて、労働者の楽しみとして飲まれたジンとビールの関係についてなど、イギリスとビールがどのようにして結び付いていったのかを知ることができました。特に、パブでの慣習の一つとして、日本とは違い自分で注文品を取りに行き、その都度支払いをすること。友人と行った場合には交替で支払いをするため、割り勘はイギリス人には馴染まないということに驚きました。イギリスに行った際には気をつけようと思います。


 最後のまとめとして、イギリス農業の発展のお話がありました。イギリスも日本と同じく食料自給率が低かったのにも関わらず、日本が徐々に自給率を下げていっているのに対し、イギリスは徐々に自給率を上げていっています。それはなぜなのか。
@2度の世界大戦で深刻な食料不足に陥った経験から「食料は国内生産でまかなうことが重要」との認識が醸成され、これに基づいた農業施策が推進されてきたこと
Aイギリスの気候風土の中で長い年月をかけて育まれた食生活に著しい変化がなかったこと
B小麦の増産により、飼料用を含む穀物自給率が大幅に向上し、100%を上回る水準に達するまでになったこと
という点が挙げられます。イギリスの例をそのまま日本で活かすことは難しいことですが、各国にはそれぞれの食文化があり、歴史と風土に影響を受けています。これからの日本にとって、食料の自給を真剣に考えていくことが極めて重要である、と高際先生はおっしゃっていました。


 今回の講演を通じ、イギリスの食文化や歴史を知ることができたのと同時に、私たち日本の食についても考えさせられました。一人でも多くの人が「食」について考え、見直していくことの必要性を痛感しました。


今後、日光市との交流事業「食から世界を考える」ではアフリカ編とペルー編を予定しております。今からどんなお話が聞けるのか楽しみです。

多文化公共圏センター事務補佐員 高橋真由


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