イベント報告

<第4回グローバル教育セミナー>
地域で世界につながるまちづくり
−国際協力・地域再生のために市民・大学生ができること

 

・日時):2012年12月6日(火)12:50〜16:10

・場所):宇都宮大学峰キャンパス 大学会館 多目的ホール

        
        ―プログラム―

12:10  開会挨拶 内山 雅生(国際学部学部長)
     挨拶・趣旨説明 重田 康博(多文化公共圏センター副センター長、国際学部教授)
13:10  対談『未来をつくる力を育もう −“私たちが望む未来”を実現するために−』
      村上 千里(持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J) 理事/事務局長)
        ×
      陣内 雄次(教育学部教授)
14:00  フェアトレード・タウンとは
     フェアトレード・ウォーク発表の説明

14:20  休憩

14:30  フェアトレード・ウォーク発表
      カケハシーズ、リソース ネットワーク
15:00  パネルディスカッション
     『地域で世界につながるまちづくり−国際協力・地域再生のために市民・大学生ができること−』
       パ ネ リ ス ト:大浦 智子(とちぎYMCA)
               大嶋 悠也(教育学部総合人間形成課程環境創造領域4年、コミュニティカフェKANMAS代表)
               千葉 真英(宇都宮大学工学部1年、カケハシーズ)
               辻浦 夢子(宇都宮大学国際学部1年、リソース ネットワーク)
               村上 千里
       コメンテーター:陣内 雄次(教育学部教授)
               阪本公美子(多文化公共圏センター員、国際学部准教授、)
         司   会 :重田 康博
16:00  閉会挨拶 重田 康博
16:10  終了

⇒チラシ

               セミナー報告

                                     報告:根本久美子(国際学部博士後期課程)  2012年11月6日火曜日、宇都宮大学峰キャンパス内の大学会館2階多目的ホールにおいて、第4回グローバル教育セ ミナーが、「地域で世界につながるまちづくり−国際協力・地域再生のために市民・大学生ができること−」をテー マに開催されました。  近年グローバル化が世界規模ですすみ、国家間・地域間・人々の間に格差が拡大し、弱い立場の人たちがより困窮 する状況が生まれています。その一方、昨年3月に発生した東日本第震災は、津浪や原発事故による放射能拡散等で 大きな被害を東日本地域にもたらしました。3.11以後、東日本地域ばかりでなく、日本や国際社会は国際協力や地域 再生のための新しいまちづくりが求められています。今後わたしたちは、どのようにその解決を目指すべきか問われ ています。そうした解決を探ること、即ち、震災後、地域で世界につながるまちづくりを、市民や大学生がともに考 えることを目的として企画・開催されました。当日は、120人以上の市民、学生が参加し、共に考えました。  国際協力・地域再生のためのまちづくりのひとつとして、世界の各地でフェアトレードやフェアトレード・タウン 運動が挙げられます。今回は、この動きに焦点を当て、2部構成(1部が対談形式、2部がパネルディスカッション の形式)で開催されました。
対談    第1部は、「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J) 理事/事務局長の村上千里氏が、『未来を作る力を育もう−”私たち が望む未来”を実現するために−』のテーマで、宇都宮大学教育学部 の陣内教授のインタビューに答える形で「持続可能な開発のための教 育(Education for Sustainable Development ESD)」に関して、未 来を創る力を育む動きの様々な事例を紹介しながらお話し下さいまし た。  村上氏によれば、現在のESDの動きは、今の社会が持続不可能な所 から始まっているからであり、不可能な課題に対して挑み、よりよい 社会を救っていくために、我々ひとりひとりが主体的になれる力を育 む為の学びが必要とされているからだそうです。  ESDは、学校教育だけではなく、企業の中や、公民館等の社会教育 の場や、様々な所で、所属可能な社会と自分の繋がりを意識しながら アクションを起こしていくような社会づくりを目指しているとのこと です。  村上氏は、ESDの動きの事例として、松山市の「えひめグローバルネットワーク」の取り組みを紹介しました。それ は、「放置自転車でモザンビークの平和構築」を目指す活動です。内戦終了してもいまだに銃を手放さないモザンビー クの人々に自転車を送り、銃との交換により銃を回収し平和を構築しようとする運動です。この運動から学ぶべきこ とは、松山市の放置自転車という地域の課題を、モザンビークの平和構築という世界の課題に結びつけ、子どもから 年配者まであらゆるレベルの市民が、自分のできることを通してかかわっていく仕組みを構築したことです。このよ うな地域の取り組みは、コミュニティの人的資源の豊かさを再認識させます。市役所との交渉で放置自転車を支援物 資にしたり、高校生が自転車の整備を担当したり、子どもたちが送る費用を地域の大人に呼びかけたり、自転車と共 にピースメッセージを送ったりと様々な形で市民が参加できる運動だからこそ市民に浸透したと言えるでしょう。こ うした、様々な人々が、様々な形―自分ができる範囲―で参加するという手法は、世界とつながる地域再生のひとつ のモデルとして画期的なものかもしれません。この取り組みの事例は、正に、今回のセミナーのテーマである「国際 協力・地域再生のために市民・大学生ができること」であり、地域再生のための運動として今後考えていくべきだと いう思いを抱いた参加者も大勢いたのではないかと思われます。
パネルディスカッション    第2部は、1部でお話しいただいた村上氏の他に、宇都宮市内でフェ アトレード活動を行っている、とちぎYMCAの大浦智子氏、宇都宮大学 学生の国際協力団体である2団体の代表、カケハシーズの千葉真英さ んとリソース・ネットワークの辻浦夢子さんが加わり、パネリストと して司会進行役の国際学部の重田教授からの3つの質問(@フェアト レードが国際協力・地生再生のまちづくりで出来ること、Aフェアト レードを行う上での課題、Bフェアトレードがグローバル教育におい て出来ること)に答える形で議論しました。  とちぎYMCAは北タイの手芸品やフィリピンの人形を、カケハシーズ はバングラデシュやネパールの手工芸品を、そして、リソース・ネッ トワークはインドの手作り小物雑貨を日本で販売し、現地の人々の社 会的自立や文化の継承の役に立つ活動を、宇都宮の地域の商店や個人 との繋がりを大切にしながら展開しています。大浦さん、千葉さん、 辻浦さんの3人の方々は、ご自身の所属団体の現在の活動とその活動に対する思いと共に、国際協力という分野で、 フェアーな取引を通したフェアーな社会構築のためのアクションの大切さを会場の参加者に投げかけました。  村上氏は、国際協力ではなく環境教育の分野から、兵庫県西宮市の「エコアクション」を事例として取り上げ、 子どもの環境学習を応援する形で、まちの大人たちが自分たちの環境アクションを考え始めた仕組みを紹介し、そ の仕組みはフェアトレード・タウンのまちづくりに共通するものがあるのではないかという考えを述べられました。  子ども達がわくわくしながら町の中で海外のことを考えるようになっていく…、そして学生や大人がそこに関わ ることでその可能性はますます広がっていく…、こうした市民の動きこそ、まちづくり−地域の再生−の在り方で はないかということを、会場の参加者の人々は再認識したのではないでしょうか。 パネルディスカッションの内 容を総括するならば、公平な社会・よりよい社会をめざしたまちづくりや地域の再生には、人の想いを繋ぐことと 共に、人を巻き込んでいくリーダー及びそのための仕組みと手法が必要且つ重要であるということになるでしょう。  パネルディスカッション終了後、本大学の陣内先生と阪本先生のお二人がコメントを述べられました。陣内先生 は、フェアトレードとまちづくりの観点から、縮小社会に向けて、フェアトレードを行うにしても、それを疲弊し ている地域の再生に繋ぐことのできるプロデューサー的人の存在の重要性と戦略と戦術の必要性とを投げかけられ ました。一方、阪本先生は、アンフェアーな構造に巻き込まれているのは途上国だけでなく、私たち自身も巻き込 まれていることを認識し、アンフェアーな部分をどのように明確化していくかという大きな課題に私たちは切り込 んでいかなければならないということと共に、アフリカなどの途上国の人々の生活の中に学ぶべきことがあるとい うことを指摘なさいました。  本セミナーは1部の対談と2部のパネルディスカッションの2部構成で行われましたが、1部と2部の間に、重 田先生によるフェアトレード・タウンについての基本的な紹介及び、本大学の学生による宇都宮市や近隣の町のフェ アトレード商品を扱った店舗巡り(フェアトレードタウンウォーク)の調査報告がパワーポイントを使って行われ ました。  今回のセミナーは、宇都宮大学国際学部附属多文化公共圏センター、 宇都宮大学HANDSプロジェクト(グローバル 化社会に対応する人材育成と地域貢献プロジェクト)及び宇都宮大学生涯学習センターの共催により開催されました。 本セミナー開催にあたりましては、宇都宮市、宇都宮教育委員会、NPO法人宇都宮市国際交流協会の後援、及びNPO法人 開発教育協会、開発教育ネットワーク、まちなか・せかいネット-とちぎ海外協力NGOセンター、カケハシーズ、リソ ース・ネットワークなどの協力がありましたことを報告させていただきます。  



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