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UU3Sプロジェクト

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UU3Sプロジェクト
について

UU3Sプロジェクトの概要

「UU3Sプロジェクト」とは、Utsunomiya University Students, SDGs, Solution(宇大生SDGs解決)プロジェクトの略称です。

国際社会において“脱炭素社会”や“循環型社会形成”が重要な政治課題となっています。国内でも災害は激化、生態系の劣化や里山の荒廃、持続可能なエネルギーへのアクセス、少子高齢化等、多様な問題が生起しています。これらの問題を、個別ではなく多目的かつ同時的に対処していく方策として、注目されているのが「ローカルSDGs/地域循環共生圏」という考え方です。「ローカルSDGs」では複雑に絡みあうグローバル・地域の課題に対して、「パートナーシップ」を通じて「自立・分散型の社会」を推し進め、複数の問題を「同時解決」することを目指すものです。

栃木県宇都宮市およびその周辺地域は都市部と農村部が混在しており、「ローカルSDGs」の推進に好ましい地理的条件を抱えています。また地域循環共生と整合するような活動も多くの団体によって行われています。ところが、こうした取組みの多くは、資金的制約や人不足・高齢化により情報発信能力の限界などに直面しています。それゆえ、個別の取組みを面的に広げることが容易ではない状況が続いています。

他方、これまでの調査研究からは、SDGsや脱炭素社会化あるいは地域の課題解決に向けて、行動したいと考える市民や学生が実は少なくないことがわかってきています。しかし、具体的な行動に踏み出せなかったり、踏み出すための選択肢を知らなかったり、あるいは行動したくても機会がないケースも多いのです。

このような背景から、 UU3Sプロジェクトでは、大学とNPO、市民などとのパートナーシップを創出し、実践や相互学習を行い、問題構造の把握や具体的な行動についての見える化や情報発信を通じて、地域循環共生圏を面的に広げることをめざしてきています。具体的には、①再生可能エネルギー教育、②NBS(自然由来の解決法:里山保全・市民農園など)、③オンラインSDGs映画上映会の実施、の3つの分野で実践・調査活動を行っています。

各活動分野の概要

再生可能エネルギー教育:

再生可能エネルギーは、脱炭素社会形成に不可欠な要素です。この点、NPOうつのみや環境フォーラムの再生可能エネルギー部会では、エネルギー管理士など企業の第一線で働いてきた方々が、家庭における再生可能エネルギーの可能性を調査し、小中学生に対して気候変動や再生可能エネルギーについて教える「出前授業」を行なうなど、再生可能エネルギーの普及啓発活動に腐心しています。UU3Sプロジェクトの学生たちは、この出前授業にサポート役として参加しながら、問題発見や課題解決に努めています。さらに、NPOと地球環境政策論受講生と共同で、宇都宮の持続可能なエネルギーに関する報告書も作成しています。

NBS(自然由来の解決法:里山保全・市民農園など):

都市緑化、里山保全、都市農園など、都市における自然を保護・保全・再生することは、地域循環共生圏形成において要となる活動です。都市部において自然を増やすことは、ヒートアイランド現象の緩和、CO2吸収源としての脱炭素社会への貢献に加え、災害対策、大気汚染の改善、地産地消、コミュニティ形成など、幾重にも便益をもたらします。この点、NPOうつのみや環境行動フォーラムの里山保全部会は、日本野鳥の会栃木県支部と協働し、宇都宮市瑞穂野地区における里山保全活動に長年取り組んでこられました。具体的には草刈りや清掃など里山整備活動を行い、生物多様性維持や気候変動対策、子ども達の学び・遊び場作りなど、多面的な機能維持に努めてこられています。また、NPOうつのみや環境行動フォーラムの情報部会のメンバーの一人は、オーナーの高齢化による耕作放棄に直面した農地を活用した市民農園にも参加しています。ナザレアファームと呼ばれるこの市民農園では、オーナー鶴見氏の指導のもと、多様な野菜や米の有機栽培を子育て中の女性等の手により行うことで、生物多様性の維持や水質汚染の防止、地産地消の推進、高齢者や女性の活躍促進によるコミュニティ活性化など、複合的な便益を生み出しています。

UU3Sプロジェクトの学生たちは、里山整備活動や、ナザレファームにおける取り組みに、実践的に参加しながら、地域循環共生圏としての意義や課題・課題解決方法などを模索しています。

里山の保全活動へ参加したときの写真
里山の保全活動へ参加
市民農園での活動・取材の様子
市民農園での活動・取材
オンラインSDGs映画上映会:

コロナ感染拡大の状況下、学生や市民の方々にSDGsを学ぶ場を提供することを目指し、学生主体のオンラインSDGsを2021年度より継続して開催しています。上映権の契約は、栃木県大学地域連携プロジェクトの助成を得て教員側で行い、十数名の学生たちが、映画の選定や、企画運営の全般を担ってきました。2021年度に取り扱った映画は、「プラスチックの海」 「Tomorrow〜パーマネントライを探して」「バレンタイン一揆」(田川ブリッジシアター)「グリーン・ライ〜エコの嘘」です。各回の映画会では、映画鑑賞後、学生たちが映画解説や私たちができることについての発表し、グループ・全体議論へ繋げています。さらに、事前・事後アンケートを行い、参加者の意識の変化を確認し、映画会の効果の検証も行っています。

オンライン画面の様子
SDGs映画をオンラインで上映
集合写真
宇都宮創造都市研究センター様と田川ブリッジシアターにて開催

メンバー

  • メンバー

    髙橋 若菜

    国際学部教授

  • メンバー

    三宅 徹治

    うつのみや環境行動フォーラム顧問

  • メンバー

    塚原 綾子

    うつのみや環境行動フォーラム理事
    (情報部会長)

  • メンバー

    今出 善久

    エネルギー管理士
    (うつのみや環境行動フォーラム)

  • メンバー

    国際学部環境と国際協力(髙橋若菜)研究室の学生たち、
    国際学部のそのほかの学生たち(ボランティア学生など)、
    その他の留学生たち

  • 海外メンバー

    Bernadett Kiss

    ルンド大学環境産業経済研究所講師/CMPS研究員

  • 海外メンバー

    Carl Salk

    スウェーデン農業科学大学研究員/CMPS研究員

  • 協力団体

    NPO法人 うつのみや環境行動フォーラム

  • 協力団体

    日本野鳥の会栃木県支部

  • 協力団体

    市民農園 ナザレアファーム

  • 協力団体

    しあわせダネ!! 八百みく(三厨由美)

主な活動内容

2020年度
《オンラインSDGs映画上映会》
第1弾(7/12)
  • 気候戦士 ~日本よ、これが気候戦士だ~
  • 参加人数(実績):61名
  • 気候変動を止める気候活動家たちの挑戦に密着したドキュメンタリー。脱炭素社会がなぜ必要かを学び、持続可能な社会実現のヒントを得られる。
第2弾(8/23、8/28)
  • パワー・トゥ・ザ・ピープル ~市民へ電気の主導権を~
  • 参加人数(実績):50名
  • 市民のパワーを活かした、分散型エネルギー社会に着目した映画。再生可能エネルギーの可能性を教えてくれる。(NPO法人うつのみや環境行動フォーラムの三宅氏・室井氏・今出氏・大沼氏とも共同発表)
第3弾(9/22)
  • シード 生命の糧 ~未来の食を守る~
  • 参加人数(実績):40名
  • 種子の多様性が奪われ、私たちが生きていく上で必要な「食」に危機が迫っていることを伝える映画。食物と種と健康を守る大切さやその方法を学べる。
第4弾(10/25)
  • ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償 ~安さの代償、安くない~
  • 参加人数(実績):52名
  • 現在のファッション産業は、地球で2番目の汚染原因であり、環境破壊や人権侵害を広げていることを伝える映画。事実を知り、私たちにできることを考える。(シャプラニールの会)
第5弾(11/23)
  • 抱く HUG ~見えない恐怖から、子供を守りたかった~
  • 参加人数(実績):43名
  • 原発事故に苦しめられる人々の思いや恐怖を描いたドキュメンタリー。目を背けずに、電気の消費者として考える機会を提供してくれる。
第6弾(12/27)【最終回】
  • 幸せの経済学 ~グローバル化に操られる「幸せ」~
  • 参加人数(実績):38名
  • グローバル化による恩恵を受ける一方で、経済格差、環境破壊などの負の側面にも目を向け、解決策としてローカリゼーションを提起する映画。本当の幸せは何かを考えるきっかけを提供する。
2021年度
《里山保全や市民農園》
  • 5/16(日)、6/20(日)、7/18(日)、8/15(日)、11/21(日)
    里山保全部会定例保全活動に参加(学生延べ20名、NPO延べ69名)
  • 市民農園(ナザレアファーム)にて有機栽培野菜の収穫体験、意見交換会、取材
  • 無農薬・化学肥料不使用野菜の販売(八百みく)取材
里山保全や市民農園
里山保全や市民農園
《SDGs上映会》
【オンライン】第1弾(7/25、31)
  • プラスチックの海
  • 参加人数(実績):159名
  • プラスチックによる海洋汚染・陸域汚染・生態系全般への悪影響を知るとともに、プラスチック問題解決に向けた方法や方向性について学べる映画。2021年を生きる今、海の問題を黙認することをやめようと呼びかけた。
【オンライン】第2弾(10/24)
  • Tomorrow~パーマネントライフを探して
  • 参加人数(実績):57名
  • 「人類は絶滅する恐れがある、それも決して遠くない未来に」という専門家たちの警告に、未来を変えるための道を探る映画。農業、エネルギー、経済、民主主義、教育にヒントがあるとして、ローカルなコミュニティやコミュニケーションを通し、未来を変えてみることを呼びかけた。
【オンライン】第3弾(1/23)
  • グリーン・ライ~エコの嘘
  • 参加人数(実績):40名
  • 「環境に優しい」商品の“エコ”なラベルが真実とは限らない。私たちの行動が、さらなる環境悪化につながらないよう、本当の持続可能性とは何かを追求する映画。グリーン・ライのない社会に向けて一緒に考えるよう呼びかけた。
【田川ブリッジシアター】第4弾(11/13)
  • バレンタイン一揆
  • 参加人数(実績):約40名
  • カカオ豆農場での児童労働や社会的不正義に触れ、悩み闘った日本の女の子たちを描いた映画。現状の問題構造を明らかにし、何ができるのかを提案し、行動宣言を呼びかけた。 (宇都宮創造都市研究センターと共同開催)。
《再生可能エネルギー教育活動》

うつのみや環境行動フォーラム再生可能エネルギー部会による出前授業への学生参加
6/5(土)環境学習センター
7/28(水)河内生涯学習センター
10/10(日)環境学習センター
10/11(月)平石生涯学習センター
12/3(金)特別支援学校

7/17(土)環境大学「生物多様性の保全について」講座参加
・11/24(水)地中熱と断熱住宅に関する外部講師授業開催
・12/1(水)地下冷熱について大谷地区の熱利用(OHYA BASE、半地下農業ハウス・施設)見学
・12/18(土)バイオマス発電・地域新電力会社・クリーンパーク茂原見学

再生可能エネルギー教育活動

研究成果・刊行物等

刊行物

表紙画像

髙橋若菜(2021)
『宇都宮大学国際学部多文化公共圏センター年報』13号, 83-92頁
宇大生によるオンラインSDGs映画上映会 座談会

表紙画像

髙橋若菜、田所莉沙・杉浦理子・濱詩織・廣村美優・藤田晋之祐・齋藤涼、楊寒、張喬、閻子瑩(2022)
『宇都宮大学国際学部多文化公共圏センター年報』14号、64-70頁
UU3S(Utsunomiya University Students, SDGs, Solution)プロジェクトの取り組み

表紙画像

Carl Salk and Bernadett Kiss (2022)
『宇都宮大学国際学部多文化公共圏センター年報』14号、118-123頁
" Sustainable urban development and land-use change in Utsunomiya "
宇都宮市における都市の持続可能な発展と土地利用の変化

表紙画像

宇都宮大学国際学部 地球環境政策論・環境と国際協力研究室UU3Sプロジェクト、NPO法人 うつのみや環境行動フォーラム 再生可能エネルギー部会編 (2022) 「宇大生とNPOが考えた宇都宮の持続可能なエネルギー報告書」
宇都宮大学国際学部高橋研究室

学会発表

Bernadett Kiss, Wakana Takahashi, Shunsuke Hirose and Carl F. Salk, "Governance Insights of Nature-based Solutions -- Case studies from Sweden, Germany, Australia and Japan" 環境経済・政策学会2021年度大会、2021年9月26日、ZOOM.

会議・シンポジウム発表

  • 田所莉沙、廣村美優・藤田晋之祐、浅野里穂、石山ちひろ「宇都宮市のローカルSDGs情報可視化・応援プロジェクト」2021年10月14日、栃木県大学地域連携活動支援事業 中間報告会(ZOOM開催)。
  • 田所莉沙・杉浦理子・廣村美優、閻子瑩、齋藤涼、楊寒「宇都宮市のローカルSDGs情報可視化・応援プロジェクト」2022年2月4日、栃木県大学地域連携活動支援事業 最終報告会(ZOOM開催)。
  • 田所莉沙「宇都宮市のローカルSDGs情報可視化・応援プロジェクト」とちぎSDGsフォーラム」、2022年2月10日、栃木県教育会館大ホール。

イベント

主催イベント
  • 宇都宮大学国際学部公開セミナー「脱炭素社会づくりと市⺠参加を考えるー「欧州気候市⺠会議」に学ぶー(トピックス ストラスブルグのLRT)」講演:柳下正治 ⽒(⼀般社団法⼈ 環境政策対話研究所 代表理事)2021年7⽉19⽇、オンライン.
  • 宇都宮⼤学多⽂化公共圏センター主催オンライン公開シンポジウム"Japanese nature-based solutions in a global context"(グローバルな文脈からみた日本のネーチャーベース・ソリューション(NbS))2021年11月10日、Bernadett Kiss Dr., Tetsuya Tsurumi Dr., Jun Nishihiro Dr., and Rintaro Yamaguchi, Dr.
チラシ画像
脱炭素社会づくりと市⺠参加を考える
ー「欧州気候市⺠会議」に学ぶー
(トピックス ストラスブルグのLRT)
チラシ画像
"Japanese nature-based solutions in a global context"
(グローバルな文脈からみた日本のネーチャーベース・ソリューション(NbS))
関連イベント
  • NPO法人うつのみや環境行動フォーラム主催、宇都宮市SDGs人づくりプラットフォーム後援「SDGs講演会2021 持続可能な社会を目指して「世界の環境活動を知ろう」Part1」、2021年3月6日、宇都宮市環境学習センター:髙橋若菜「脱炭素社会へ向かう欧州の取組」Bernadett Kiss「街の中に自然を取り戻すNature Based Solution(自然由来の解決法)」 Carl Salk「森林と農業を両立させるAgroforestry(森林農業)」 。
  • NPO法人うつのみや環境行動フォーラム主催、宇都宮市SDGs人づくりプラットフォーム後援「SDGs講演会2021 持続可能な社会を目指して「世界の環境活動を知ろう」Part2」2021年10月30日、宇都宮市環境学習センター:髙橋若菜「イントロダクション〜脱炭素社会とSDGs」、 Bernadett Kiss 「 街の中に自然を取り戻す:ネイチャーベース・ソリューション(NbS)への市民参加」; Carl Salk「森林の歴史と林産物を考える」。

関連の卒業研究

《2021年度》
  • 浅野里帆「認識と行動の変容をもたらす新たな環境学習アプローチとは ―2つの参与型観察からの模索― 」
  • 石山ちひろ「なぜ日本の住宅は省エネ性能が低いままなのか~省エネ基準の変遷と会議の流れから読み解く~」
  • 宍戶そのみ「顔の見える」地域循環共生圏はどのように形成されるのか−栃木県の3つの取組を事例として−」
《2020年度》
  • 佐藤慧光 『シビックアグリカルチャーから学ぶローカルフードシステムの在り方』

メディア・報道

《新聞》
  • 下野新聞2020年10月20日「SDGs理解広める―オンラインで全国と議論」
《ラジオ》
  • 2021年7月24日 宇都宮コミュニティFMミヤラジ出演、オンラインSDGs映画上映会
  • 2021年12月15日、宇都宮コミュニティFMミヤラジ出演、地域連携事業の活動を発表
  • 2021年3月16日 宇都宮コミュニティFMミヤラジ出演、宇都宮の持続可能なエネルギーミニ報告書作成について報告
NPO法人うつのみや環境行動フォーラム主催の講演会
NPO法人うつのみや環境行動フォーラム主催の講演会
宇都宮コミュニティFMミヤラジ出演
宇都宮コミュニティFMミヤラジ出演

助成

  • 大学地域連携活動支援事業補助金(H2021008)令和3年度大学地域連携活動支援事業補助金。
  • 科学研究費補助金 基盤B「環境国際規範のパラダイム・シフトと国内受容比較~欧州とアジアを事例として」(2018-2022年度、研究代表者:髙橋若菜)。
  • 科学研究費補助金 特別研究員奨励費「都市レジリエンス強化のための自然を基盤とした解決策の出現とガバナンス動態研究」(2019 – 2021年度、受入研究者:髙橋若菜、外国人研究員:Bernadett Kiss)。